なぜ人々は、自身のゴミ屋敷という極めて個人的な状況を、インスタグラムという公開の場で共有するのでしょうか。その背景には、複雑な心理が横たわっています。まず挙げられるのは、「自己開示による解放感」です。長年隠し続けてきた秘密を公にすることで、罪悪感や羞恥心から解放され、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいという欲求があると考えられます。また、インスタグラムでの共有は、「外部からの承認や励ましを求める」行動としても解釈できます。片付けという困難な課題に一人で立ち向かう中で、フォロワーからの温かいコメントや「いいね」は、大きなモチベーションとなり得ます。これは、孤独な戦いから抜け出し、社会とのつながりを感じたいという切実な願いの表れでもあります。さらに、「客観的な視点を取り入れる」目的も考えられます。自分の部屋の状況を写真として記録し、他者の目に触れることで、それまで漠然としていた問題がより明確になり、どこから手をつければ良いのか、何が問題なのかを冷静に分析できるようになることがあります。時には、コメントを通じて具体的なアドバイスが得られることもあります。そして、「自分を追い込むためのコミットメント」としても機能します。一度公開した以上、途中で投げ出すことはできないという意識が働き、片付けを最後までやり遂げるための強い原動力となるのです。しかし、共有の心理には、注意すべき側面も存在します。匿名であるとはいえ、ネガティブなコメントや無理解な批判にさらされるリスクもゼロではありません。そうした外部からの攻撃は、せっかく芽生えた片付けへの意欲を削ぎ、精神的な負担を増大させる可能性もあります。そのため、投稿者は、自身のメンタルヘルスを守りつつ、建設的なコミュニケーションを意識することが重要です。インスタグラムでの共有は、諸刃の剣であり、その利用方法が、当事者の精神状態に大きな影響を与えることを理解しておく必要があります。
共有の心理ゴミ屋敷インスタグラムの深層