ゴミ屋敷問題を法廷の場で解決しようとする場合、その勝敗を分けるのは、いかに「客観的」で「説得力」のある証拠を提示できるかにかかっています。裁判官は、当事者の感情的な訴えではなく、あくまで証拠に基づいて事実を認定し、法的な判断を下すからです。では、ゴミ屋敷訴訟において、どのような証拠が有効となるのでしょうか。まず、最も基本的かつ重要なのが、「被害状況を記録した写真や動画」です。家の外にまでゴミが溢れ出している様子、共用廊下や自分の敷地にゴミが散乱している状況、大量に発生した害虫など、被害の実態が一目でわかる映像は、何よりも雄弁な証拠となります。撮影した日付が自動的に記録されるスマートフォンでの撮影が望ましいでしょう。次に、「悪臭の客観的な証明」です。単に「臭い」と主張するだけでは、裁判官にはその程度が伝わりません。可能であれば、臭気判定士などの専門家に依頼し、臭いの強さを数値で測定した「臭気測定結果報告書」を作成してもらうと、極めて強力な証拠となります。費用はかかりますが、悪臭被害が深刻な場合には検討する価値があります。さらに、「健康被害を証明する証拠」も有効です。悪臭や害虫が原因で、頭痛、不眠、アレルギー、喘息といった症状が出ている場合は、必ず医療機関を受診し、医師に「診断書」を書いてもらいましょう。その際、症状の原因が隣家の衛生環境にある可能性を医師に伝えることが重要です。加えて、「これまでの経緯を示す記録」も不可欠です。いつから被害が始まり、これまで誰に(大家、管理会社、行政など)、どのように相談し、相手がどう対応したのかを、時系列で詳細に記録した日記やメモを作成します。行政とのやり取りは、担当者の氏名や部署名も記録しておくと、より信憑性が高まります。これらの証拠を、一つ一つ、地道に、そして冷静に集めていくこと。それが、法廷という場で、あなたの正当な主張を認めさせるための、唯一にして最強の武器となるのです。
ゴミ屋敷訴訟で勝つための証拠集め